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聖書にはないユダヤ人の民話Part④神との契約の重要性とユダヤ人の受難

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 こんばんは。MORU(@MORUNUMA)です!  前回の記事では、ユダヤ人の民話「モーセと蟻」を通じ、ユダヤ人は「神の圧倒的な裁きは黙って受け入れるしかない」と考えていることを解説し、またユダヤ人の世界観では、例え本人に非がなくとも、近親者に罪を犯した者がいればとばっちり的に罰を受けることがある点に触れました。  今回は、その補足説明とも言える「とばっちりの天罰」を端的に表した民話を紹介します。それが、「天、ネズミ、そして井戸」です。

天、ネズミ、そして井戸

ある時1人の少女が、父の住む家に向かうため歩いていると、途中で道に迷い、町から随分と離れてしまいました。  彼女はのどが渇いたので、井戸を見つけると、そこについていたロープを使い、底まで降りて水を飲みました。  しかし、いざ地上に戻ろうとしても、彼女の力では上がることができません。そこで少女が

 「助けて!」

 と叫ぶと、偶然通りかかった男が井戸を除きました。井戸の底に少女がいるという不思議な光景を見てしまった男は、こう聞きます。

 「お前は人間か?それとも悪魔か?」

 すると少女は泣きながらこう言いました。

 「人間よ。お願い、ここから出して。」

 「もし助けたら?僕と一緒におねんねしてくれるかな?」

 「ええいいわ。」

 そこで男は、苦労の末少女を井戸から救い出しました。

 「さあ、約束を守っておくれ。」

 と男が言うのに対し、少女は、

 「あなたのご出身は?」

 と聞きます。男は、自分がとある祭司の一族であることを伝えました。すると少女はこう言います。

 「私もあなたと同じ祭司の一族出身よ。神にお仕えする聖なる祭司の出身ともあろう者が、結婚の契約もなしに、私に獣のように乱暴し、肌に触れてもいいのかしら?お願い、私と一緒に両親の家に来てください。そうすれば、私はあなたにとって恥ずかしくない形で、正式に結婚いたします。」

 そこで2人は、その場で互いに婚約の誓いをしました。ユダヤ式の方法に則るなら、その場に保証人がいなくてはならないのですが、井戸の周りには誰もいません。そこで2人は、天と井戸と、その場に偶然通りかかったネズミを保証人とし、誓いを済ませると、2人はその場を離れました。

 少女はそれ以後、その男が家まで挨拶に来るのを待ち続け、婚約の誓いを頑なに守り、どんな求婚も断ります。  ある時、若い紳士が家にやってきました。彼はお金持ちで、学識があり、頭脳明晰、かつ人徳もあり、その上名家の出でした。彼は良い家柄の娘であるこの少女を見ると、

 「是非とも彼女と結婚したい」

 と申し出ます。

 少女の父は大喜び、彼女にこう言いました。

 「娘よ。私は今までお前の意思を尊重し、お前に求婚してきた者たちと無理に結婚はさせなかった。しかし今回の求婚者は訳が違う。彼はハンサムで、頭が良くて、金持ちで、しかも人徳がある。こんな良い相手は2度と表れない。どうか私の言うことに耳を傾け、彼と結婚してほしい。」

 これには少女の母親も同意しました。少女は、

 「今回ばかりは父母共に自分の願いを聞いてくれそうにない」

 と悟ると、わざと頭がおかしくなったふりをします。自分と、周りにいる人たちの衣服を破り始め、素足で町を歩き、そこでも衣服を引き裂いてみたり、道行く人に石を投げたりしました。こうして彼女には誰も求婚しなくなったのです。

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MORU

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